2008年7月26日土曜日

リュート


家内が突然思い出したように、リュートを聞きに行こうと言い出しました。時々足を運んでいる「ミモザ」という画廊喫茶でのミニイベントだというのです。
(ちなみに、「ミモザ」は階上町と八戸市の境界付近、国道45号からわずかに路地を入ったところにあります。)

果たして、家内はリュートが何ものであるかどうかも知らず言っているのだろう思ったのですが、かつて高校生の頃、日曜の朝早くに『バロック音楽の楽しみ』だったと思いますが、NHKのFMラジオ番組があって、よくリュートの美しい音色にあこがれていた時期があったのを思い出しました。そういう僕も、リュートの音色はずいぶん心地よく、また、好ましいと思いながら聞いていたのですが、実物を見たり聞いたりしたことは全くなかったのです。

ということで、足の調子はあまりよろしくなかったのですが、リュート聞きたさに出かけました。

初めて見るリュート。

リュート自体はその形状と音色から、マンドリンとギターの合いの子と思っていたのですが、もともとはイスラム圏で発明され、どちらかというと琵琶に近いものだとか。また、その繊細な音色から、僕は鉄弦だと思っていたのですが、なんとなんと細い細いガット弦だったのでした。そしてまた、予想に反して、あまりに小さな音量。ガットギターのふくよかな音と比べれば1/5程度でしょうか。

張られている弦は19本。同じテンションの複弦もあって音数は10音。何とも複雑なチューニングしています。指板にはフレットがついていて、ギターと同じ。すべての弦を指で押さえることは不可能で、特に時々しか弾かれない低音部に張られた開放弦は、どちらかというと共振を意図しているようです。 いずれ、温度・湿度に弱く、チューニングは非常に難しいとのこと。

1時間ほどのコンサートでしたが、リュートの小品を数多く聞けましたし、リュートに関わるトークも興味深く聞くことができました。ちなみに演奏は、中谷肇さん。東北リュートの会の事務局長さんだとか。本人は何度もアマチュアと言っていましたが、1時間少々のステージを淡々とこなす姿は、ただ者ではありませんでした。

高校生の頃から耳に留まっていたあこがれの音色は、遙か彼方、バロック、ルネッサンスの時代の主役であって、その後、数十年前までほとんど忘れ去られていた悲哀の音色だったそうです。僕が初めてリュートを耳にした頃、それはまさに、現代リュートの復興努力が重ねられていた時期だったとのこと。なるほどと、独り合点してニヤニヤと帰路のついたのでした。

ちなみに、家内も一言、「シタール」のようなイメージじゃなかったのね、と感想。あぁ、楽器に興味がなければ、そういう発想もあるのだなと、目から鱗でもありました(笑)。

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